Twitterは、自社のサーバソフトを売ってマネタイズすべし、という記事

Twitterがマネタイズするには、自社のマイクロブログサーバを、世界中の企業に販売すればよい - ちょうどMicrosoftがメールサーバのMS Exchange Serverを企業に売りつけているように - という記事がTechCrunchに出ていた。

Twitter Should Decentralize (And Make Money) Via Twitter Server

※追記 上記記事の和訳版が既に公開されていた。→ Twitterはスケールしない―MS Exchangeのように分散化してサーバを売るべきだ

記事ではまず、Twitterは現状「サービスの耐障害性」と「マネタイズ」の二つに問題を抱えており、これを解決するためには、そのアーキテクチャを中央集権型から分散型に移行すべし、と指摘。

We believe decentralizing Twitter solves two problems – it will help the service scale infinitely. And it is potentially a very lucrative source of revenue.


Twitterはスケールがやばいやばいと言われ続けて一年以上、以前と比べて格段に規模が大きくなった現時点でも特に問題なく動いている。が、そのアーキテクチャは中央集権型で、EメールやDNSのような分散型ではない。これでは攻撃に晒されたときに簡単にダウンしてしまう。もはや公の役割を担いつつあるTwitterは、その役割に答えるだけの耐障害性を併せ持つべきだ、ということなのだろう。

そして、分散型アーキテクチャを採用したTwitterは、なんとマネタイズでも活路を開けるという、以下の主張。

Twitter should look at how email, and commercial email servers such as Microsoft Exchange Server, developed. The business generates $2 billion or more in revenue for Microsoft, and powers the majority of corporate office functions (email, calendar, etc.). Businesses pay a few hundred dollars for Exchange, plust $50 or so per year per user. Plus, the businesses handle all the infrastructure costs (servers, bandwidth, etc.).

Twitter should sell Twitter Server just like Microsoft sells Exchange Server. They’d then run their own Twitter node on their own hardware.

[拙訳]

Twitterは、Eメール、そしてMS Exchange Serverのような商用Eメールサーバソフトが、どのように開発されているのかを参考にすべきだ。このビジネスはMicrosoftに20億ドル以上の収益をもたらしており、企業業務の中心であるEメールやカレンダーといったツールを提供している。企業はExchange Serverを導入するために数百ドルを支払い、さらに従業員一人に付き年50ドルを支払っている。また、サーバや回線帯域といったインフラコストも別途必要になる。

Twitterは、ちょうどMicrosoftExchange Serverを売っているように、Twitterサーバを売るべきなのだ。顧客は自分たちのハードウェア上で自分のTwitterノードを稼動させることができるようになる。


「ああ、企業内Twitterのためのサーバソフトを販売すればいいって話ね。でもそれ、顧客にサーバを準備させるんじゃなくて、SaaSでやればいいじゃない。どうせブラウザ上で利用するアプリケーションなんだし。ていうかもう既にSaaSタイプのYammerがあるし」
と、思ってしまった人はミスリードしている。
これはそういう話ではなく、マイクロブログをPOP、PUSHするプロトコルを標準化して、分散型マイクロブログシステムを世界に広げればいい、という話だ。組織の数だけマイクロブログネットワークを作るのではなく、それぞれの組織の間でメッセージがやり取りされ、全体としてインターネット上にひとつのマイクロブログネットワークを作る、という話。Eメールがまさにそうであるように。

分散型アーキテクチャに移行することで、個々の組織がマイクロブログサーバを乱立させることができ、それらが協調して機能するようになる。そして耐障害性も上昇すれば、マイクロブログサーバソフト市場という新しい市場が生まれる。企業向けEメールサーバ市場と同じだ。
事実上マイクロブログデファクトスタンダードとなったTwitterだけが取り得る一手。現状の独占の上にあぐらをかくのではなく、あえて門戸を開き、新しい市場を作り出すべし、ということだろう。これはおもしろい!

この道をとった場合、直接の競合としてGoogleWaveと全面衝突することになりそうだ。マイクロブログはたしかオープンソースプロジェクトもいくつかあったと思うので、一社独占を防ぐためにもプロトコルの企画は是非RFC化してほしいところですね。